ELECTRIC💡陰キャ@高専生

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ラプラス変換

ラプラス変換

F(s)=\mathcal{L}(f(t))=\int_{0}^{\infty}f(t)e^{-st}dt

元の関数とラプラス変換の関係

この広義積分(定積分)を計算する際に、t→\inftyt=0が代入されるのでtは消えて、ラプラス変換sの関数になる。

もとの関数f(t)e^{-st}をかけることによって、f(t)e^{-st}を収束させて、f(t)e^{-st}x軸に囲まれた部分の面積を計算している。

f(t)e^{-st}において、

Re(s):f(t)e^{-st}の大きさに影響

 ⇒a<Re(s)<bという条件の元でラプラス変換できる。

Im(s):f(t)e^{-st}を振動させる(e^{iθ}=\cos{θ}+i\sin{θ}だから)

 

f(t)を原関数、F(s)を像関数と呼ぶ。

積分区間0 \leqq t \leqq \inftyなのは、工学の世界では原因の前に結果が起こる(例:入力信号が入る前に出力信号が出る)ということはあまりないので、時間t < 0の部分を考えなくて良いからである。

ラプラス変換

f(t)=\mathcal{L}^{-1}(F(s))=\frac{1}{2πi}\int_{c-i\infty}^{c+i\infty}F(s)e^{st}ds

これは逆ラプラス変換の定義で、像関数F(s)から原関数f(t)を求める式である。この複素積分を計算する方法を2つ紹介する。

[1]留数定理を使った計算法

①極

 g(s)において

 <例1>g(s)=\frac{1}{6(s-a)^{3}(s-b)^{5}}なら、s=aは3位の極、s=bは5位の極

 <例2>g(s)=\frac{e^{2s}}{2(s-c)^{4}(s-d)}なら、s=cは4位の極、s=dは1位の極

 

②留数

 留数:ローラン展開における-1次の項の係数

 g(s)において、s=aがm位の極のとき、

 留数Res_{s=a}g(s)=\frac{1}{(m-1)!}\lim_{s→a}\frac{d^{m-1}}{ds^{m-1}}{(s-a)^{m}g(s)}

 

③留数定理

 周回積分積分経路内の留数の和に2πiをかけて計算できる。

 

図2.1

図2.1のような積分経路なら、\oint_{C}g(s)ds=2πi(Res_{s=a_1}g(s)+Res_{s=a_2}g(s)+Res_{s=a_3}g(s))

ジョルダンの補助定理

ジョルダンの補助定理の積分経路

上の図の積分経路において、\int_{C_1}g(s)ds=\oint_{C_2}g(s)dsが成り立つ。証明略

 

④留数定理とジョルダンの補助定理で計算

積分経路C_2に内側に極があれば②の留数定理を使うことが出来る。ここでC_2の半径は∞なので、全ての極がC_2の中にある。

よって、

f(t)=\frac{1}{2πi}\int_{C_1}F(s)e^{st}ds=\frac{1}{2πi}\int_{C_2}F(s)e^{st}ds\\=\frac{1}{2πi}2πi(Res_{s=a_1}F(s)e^{st}+Res_{s=a_2}F(s)e^{st}+・・・)\\=Res_{s=a_1}F(s)e^{st}+Res_{s=a_2}F(s)e^{st}+・・・

 

したがって、逆ラプラス変換は下のような留数の和として計算できる。

f(t)=\mathcal{L}^{-1}(F(s))=\sum_{n}Res_{s=a_n}F(s)e^{st}

 

[2]部分分数分解を使った計算法

微分積分の公式を覚えたときのように、原関数と像関数のセットを暗記して計算する方法。

\mathcal{L}(af_1(t)+bf_2(t))=a\mathcal{L}(f_1(t))+b\mathcal{L}(f_2(t))

\mathcal{L}^{-1}(aF_1(s)+bF_2(s))=a\mathcal{L}^{-1}(F_1(s))+b\mathcal{L}^{-1}(F_2(s))

このように線形性があるため、以下のようなものを覚えていれば計算できる。

 

ラプラス変換表(公益社団法人 日本電気技術者協会から引用)

この方法でのラプラス変換/ラプラス逆変換には、テクニックや覚え方、簡単に公式を導出する方法、コツなどがあるので、後に別の記事で説明する予定。