ELECTRIC💡陰キャ@高専生

電気系の高専生が書いています。迷走しています。

重積分の基礎

積分とは

下のようにn変数関数をn個の変数でn回積分する。

\iiint_{V}f(x,y,z)dxdydz

Vは積分領域で、3重積分なので立体になっている。

 

2重積分の計算法

\iint_{D}f(x,y)dxdy

今回は2重積分しか扱わない。

積分領域

積分領域はDで、平面になっている。

1変数関数の場合は直線上での積分なのでa\leqq x\leqq b\int_{a}^{b}f(x)dxのように計算出来たが、2変数関数では平面上での積分になるのでそれが出来ない。

D={(x,y):x^2+y^2\leqq 1,0\leqq y\leqq\frac{1}{2}}などのように書いておくしかない。

計算法

例題を通して計算法を説明しようと思う。

一番簡単なのは長方形で囲まれた領域での積分だ。

【1】

\iint_{D}(x^2+y^2)dxdy(D={(x,y):-1\leqq x \leqq1,-1\leqq y\leqq 1})

<解答>

与式=\int_{-1}^{1}(\int_{-1}^{1}(x^2+y^2)dx)dy

  =\int_{-1}^{1} [ \frac{1}{3}x^3+xy^2 ]_{-1}^{1}dy(この段階ではyは定数として計算してよい)

  =\int_{-1}^{1}(\frac{2}{3}+2y^2)dy

  =[ \frac{2}{3}y+\frac{2}{3}y^3 ]_{-1}^{1}

  =\frac{8}{3}

しかし、積分領域は長方形であるとは限らない。

【2】

\iint_{D}xydxdy(D={(x,y):x^2+y^2\leqq x,y\geqq 0}

<解答>

積分領域Dについては,x^2+y^2\leqq x,y\geqq 0を解くと、0\leqq x\leqq 1,0\leqq y\leqq\sqrt{x-x^2}が得られる。

よって、

与式=\int_{0}^{1}(\int_{0}^{\sqrt{x-x^2}}xydy)dx

  =\int_{0}^{1}[ \frac{1}{2}xy^2 ]_{0}^{\sqrt{x-x^2}}dx

  =\frac{1}{2}\int_{0}^{1}(x^2-x^3)dx

  =\frac{1}{2}[ \frac{1}{3}x^3-\frac{1}{4}x^4 ]_{0}^{1}

  =\frac{1}{24}

このように、積分領域が長方形でない場合は、

\iint_{D}f(x,y)dxdy=\int_{a}^{b}(\int_{g_1(x)}^{g_2(x)}f(x,y)dy)dx

\iint_{D}f(x,y)dxdy=\int_{c}^{d}(\int_{h_1(y)}^{h_2(y)}f(x,y)dx)dy

のように変形すれば計算できる。

変数変換

積分領域Dや被積分関数の形によっては、被積分関数f(x,y)x=g_1(u,v),y=g_2(u,v)とおいて、f(x,y)=f(g_1(u,v),g_2(u,v))=h(u,v)に置き換えてu,v積分した方が計算しやすい場合がある。

x,y積分するときはdxdyを足し合わせていたのだが、u,v積分するときにはdudvを足し合わせる。しかし、dxdydudvでは大きさの比率が異なる。

これを解決するため、変数変換するときには

ヤコビアンJ(u,v)=\begin{vmatrix}\frac{\partial{x}}{\partial{u}} \frac{\partial{x}}{\partial{v}}\\ \frac{\partial{y}}{\partial{u}} \frac{\partial{y}}{\partial{v}}\end{vmatrix}を用いてdxdy=|J(u,v)|dudvと変数変換する。

|J(u,v)|\begin{pmatrix}\frac{\partial{x}}{\partial{u}}\\ \frac{\partial{y}}{\partial{u}}\end{pmatrix}\begin{pmatrix}\frac{\partial{x}}{\partial{v}}\\ \frac{\partial{y}}{\partial{v}}\end{pmatrix}の2つのベクトルが成す平行四辺形の面積になっている。2次元極座標(r,θ)のような形についても、微小区間で見れば平行四辺形に近似できる。ヤコビアンの計算には偏微分が使われているので、微小区間として見てよい。

dxdydudvの比率は場所によって変わるが、J(u,v)u,vの関数であるためカバーできる。

【3】

\iint_{D}\cos(x+y)\sin(x-y)dxdy

(D={(x,y):0\leqq x+y\leqq\frac{π}{2},0\leqq x-y\leqq\frac{π}{2}})

<解答>

u=x+y,v=x-yと置くと、u+v=2x,u-v=2yなので、x=\frac{u+v}{2},y=\frac{u-v}{2}と表せる。

J(u,v)=\begin{vmatrix}\frac{1}{2} \frac{1}{2}\\\frac{1}{2} -\frac{1}{2}\end{vmatrix}=-\frac{1}{2}

積分領域は0\leqq u\leqq\frac{π}{2},0\leqq v\leqq\frac{π}{2}になる。

与式=\int_{0}^{\frac{π}{2}}\int_{0}^{\frac{π}{2}}\cos{u}\sin{v}|J(u,v)|dudv

  =\frac{1}{2}\int_{0}^{\frac{π}{2}}(\int_{0}^{\frac{π}{2}}\cos{u}\sin{v}du)dv

  =\frac{1}{2}\int_{0}^{\frac{π}{2}}[ \sin{u}\sin{v} ]_{0}^{\frac{π}{2}}dv

  =\frac{1}{2}\int_{0}{\frac{π}{2}}\sin{v}dv

  =\frac{1}{2}[ -\cos{v} ]_{0}^{\frac{π}{2}}

  =\frac{1}{2}

【4】

2\iint_{D}\sqrt{a^2-x^2-y^2}dxdy(D={(x,y):x^2+y^2\leqq a^2})

<解答>

2次元極座標(r,θ)に変換する。

x=r\cos{θ},y=r\sin{θ}より、J(r,θ)=\begin{vmatrix}\cos{θ} -r\sin{θ}\\ \sin{θ} r\cos{θ}\end{vmatrix}=r

したがって、面積素の面積はrdrdθである。

積分領域は図より0\leqq r\leqq a,0\leqq θ \leqq\frac{π}{2}である。

よって

与式=2\int_{0}^{2π}\int_{0}^{a}\sqrt{a^2-r^2}\cdot rdrdθ

  =4π\int_{0}^{a}\sqrt{a^2-r^2}\cdot rdrdθ

ここで、t=\sqrt{a^2-r^2}と置くと、t^2=a^2-r^2よりdr=-\frac{t}{r}dtが得られる。

また、r=0のときt=a,r=aのときt=0である。

よって

与式=4π\int_{0}^{a}\sqrt{a^2-r^2}\cdot rdrdθ

  =4π\int_{a}^{0}t\cdot r\cdot -\frac{t}{r}dt

  =4π\int_{0}^{a}t^2dt

  =4π[ \frac{1}{3}t^3 ]_{0}^{a}

  =\frac{4πa^3}{3}