仕事(物理量)
物体が直線に沿って運動した場合の一定の力Fがした仕事
図1.1のように物体に一定の力Fが加わり、物体が一直線上にxだけ移動した場合、この力がした仕事の大きさはW=Fxcosθである。
実は、仕事はベクトルの内積になっている。xは変位ベクトルの大きさ、Fは力ベクトルの大きさとすると、は、がの向きにした仕事Wを表していることが分かる。すなわちであることが分かる。
【1】一定の力を受けながら物体が直交座標系の点A(1,-1,0)から点B(3,2,4)へ移動した。がした仕事を求めよ。ただし、長さの単位をm,力の単位をNである。(【】の解説・解答は一番最後に書いてある。)
力が変化したり曲線上を運動する場合
微小な位置変化ごとの仕事に細かく分割し、それらを全て連続的に足す必要がある。(積分)
図1.2では、青い→が物体がその位置にあるときに働いた力を表し、緑の→が微小な位置変化を表す。それぞれの場所でした仕事を全て足し合わせた合計が全体での仕事Wになる。
が結果だが、このままでは計算できない。これの計算法が本題「ベクトルの線積分の計算法」になる。
線積分の計算法
は位置によって決まるので、と表せる。
位置は座標なので、と表せ、も座標の関数と表せる。
手順1:積分経路Cをパラメータ表示(媒介変数表示)で表す
図1.2の曲線Cを積分経路と言う。この経路はのようにパラメータを用いて表すことが出来るため、をこの経路Cを表すように指定することができる。
この操作を行うと、のようになる。
手順2:置換積分で計算する。
位置が定まったため、位置によって決まる力も定まる。にを代入すれば、もの関数として表すことができ、置換積分で計算することができる。
内積はスカラーになるため、これはただで積分するだけで計算できる。
【2】平面内を運動する質点に働く力がで与えられるとき、次の問に答えなさい。
(1)軸上の点Aから軸上の点Cまで、半径の円周に沿って動く場合ののする仕事を求めよ。
(2)軸上の点Aから軸上の点Cまで、線分ACに沿って動く場合ののする仕事を求めよ。
問題の解答
【1】変位,力なので、
仕事[J]
【2】
(1)
この経路はと表せる。
にを代入すると、となる。
よって、
(2)
この経路はと表せる。
に代入すると、と表せる。
よって、